20代は読むな、稲盛和夫さんの京セラフィロソフィ

京セラフィロソフィ(サンマーク出版)は、

書店でひときわ目を引く装丁で

ついつい、手にとって読みたくなる本だと思います。

 

そして、ひとたび、ページを開くと飛び込んでくるのは

厚みのある豊かな人生に裏打ちされた

稲盛和夫さんの人生訓の数々・・・。

 

ビジネスでの成功、というよりも

人生での成功を目指すための哲学に満ち溢れています。

そして、その1項目を読むだけでも

心が揺さぶられ、人生の恩書になると確信し

気がつけばレジで決済を終えていることでしょう・・・。

 

ただ、それでもあえて言いましょう。

この本は、20代のうちは読んではいけません。

 

なぜかというと・・・。

 

 

 

サイバーエージェントの社長

藤田晋さんの処女作である「ジャパニーズドリーム」

 

この本には、上場に至るまでの

藤田晋さんの半生記が綴られております。

 

そのなかで、私が印象に残っているのは

学生時代のアルバイト先の専務が

ビジョナリーカンパニーを読んでいるのを見るシーンです。

 

藤田晋さんの才覚を買っていた、その専務は

「いつか、この本が必要になる日が来るかもしれないが

 学生のうちは、まだ読むべきではない。

 君の思考が凝り固まって、頭でっかちになってしまうからだ」

と、良書とすすめつつも、警鐘を鳴らしているのです。

 

しかし、藤田晋さんは、

そんなのお構いなしに、次の日にビジョナリーカンパニーを買い

何度も何度も読みふけるのですが・・・。

 

実は、京セラフィロソフィにもまた、

このビジョナリーカンパニー同様の

危うさ、みたいなものがあるのです。

 

それは、良くも悪くも

理想主義に生きるきれいな人間になってしまう可能性がある、

ということです。

 

私自身が自覚のあることですが、

人間は欲の生き物で、

それこそ、持たざる若いころほど

その本能はむき出しになります。

 

ただ、その、強い欲望

とりわけ私的な欲を求める気持ちこそが

向学心や向上心の原動力になることもあるわけで。

 

だからこそ、若いうちは、

心を綺麗にする、志をクリアにするというよりも

欲望に身を任せ

地の底を這いずりまわる方が

ならではの人生経験を積むことが出来

中長期的な人間性の厚みを生むこともできるのです。

 

もちろん、そのままズルズル行ってしまう人も多いですが。

 

変に、型にはまろうとせず

お利口さんになろうとせず

自分の欲に向きあい、世の中との折り合いがつかずに苦しむ。

そんな時代が、成長には欠かせないと思うのです。

 

だから、適切な表現かはわかりませんが

京セラフィロソフィを読むことで

せっかくの成長期を、

綺麗にまとまる時間にしてしまう懸念があるのです。

 

もちろん、それでも

素晴らしい人生を送ることは可能でしょう。

 

ただ、やはり自分の人生ですから

自分の色を出してほしいと私は思うのです。

 

20代を、欲望に生きることによって

100点満点の人生にはならないかもしれません。

 

ですが、95点でも、90点でも

死ぬほど楽しいのが人生です。

 

むしろ、その100点に至らぬ部分にこそ

ならではの人生を歩めた満足感が宿ると思います。

 

したがって、京セラフィロソフィは

非常に素晴らしい名著だと思うわけですが。

 

その一方で、人生の早い時期に読むことで

あなたの人生を100点にしてしまう可能性があります。

 

そういった、優等生的な生き方ばかりが

幸せな人生ではないと思います。

 

だからこそ、20代は、欲望に生き、

それこそ、京セラフィロソフィに対して

反抗期的な時間を過ごしてみても良いと思います。

 

読むのは30代になってからで、、、

というよりも

自分の欲に向き合って、

それを全面に押し出す生き方に満足してからで良いでしょう。